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ドラマ『フリーバッグ FLEABAG』シーズン2はおかしくて痛々しい『愛の物語』/あらすじと感想

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5月にAmazonプライムビデオで配信された『フリーバッグ』シーズン2を観終わりました。

これは…

…エミー賞を捧げるしかないのでは?

こんなに心をかき乱されるコメディーある?

くすくす笑える馬鹿馬鹿しいやりとりが続くかと思えば、突然、ナイフで心の柔らかい部分をえぐられるような。

観終わった後は、しばらく色々な思いが胸の中で渦巻いて放心ですよ。

終わってしまうのがもったいなくて、次のエピソードを再生するのを躊躇してしまうほどハマってしまったシリーズでした。

『フリーバッグ』シーズン2あらすじと感想(ネタバレなし)

シーズン2は、シーズン1の後から約1年後、フリーバッグの家族がレストランに集まるところから始まります。

同棲を続けていたフリーバッグの父とその恋人("ゴッドマザー")が正式に結婚することに。

"ゴッドマザー"を嫌うフリーバッグと姉のクレアは複雑な心境。

フリーバッグは、その場で"ゴッドマザー"から、結婚式を執り行なう神父(アンドリュー・スコット)を紹介されます。

主人公を含め、一部の主要人物に名前が設定されていないのが特徴の本作。やはり神父にも名前はなく、"Priest"(神父)という役名しかありませんでしたね。

「これは愛の物語。」

第一話の冒頭、フリーバッグがこちらに向かって言うのがこのセリフ。

その言葉の通り、シーズン2では、フリーバッグの家族それぞれの「愛」の形が描かれています。

フリーバッグの恋愛や母親への愛情、父親の再婚、さらにはクレアまで…

よりによってフリーバッグの相手は神父ですからね。信仰が大きな障害になります。ライバルは神様です。

シーズン1で夫婦関係に亀裂が入ってしまったクレア。夫のマーティンは懸命に彼女の愛情を取り戻そうとします。

それぞれの「愛」がどこに行き着くかが、このシーズンの見所の一つです。

風変わりな神父

アンドリュー・スコット演じる神父ですが、ちょっと変わってるんですよね。少なくとも、「真面目」「堅い」「厳しい」というような一般的なイメージの神父ではないですね。

昼間から酒を飲んでタバコも吸うし、汚い言葉も使うし、一見とても世俗的に見える。でも、優しく包容力があっておおらかで魅力的なんです。

アンドリュー・スコットは、BBC『シャーロック』でモリアーティーを演じた俳優です。モリアーティーもかなり癖のある演じ方をしていましたが、今回の神父もなかなか。

仕草や挙動だけ見るとライトなヤク中ですが、私は好きです。

シーズン1からさらに進化した演出

フリーバッグが画面の向こう側からこちらに話しかけてくる演出は今回も健在です。しかしシーズン2でさらに面白いのが、神父だけがそれに気がついているところ。

フリーバッグが画面のこちら側に話しかけている最中に、

「ちょっと!今、どこに行ってたんだ?心がどこかに行ってたぞ!」

とか、それでもまたこちら側に顔を向きなおして話そうとするフリーバッグに、

「ほら!まただ!」と言ったり。

画面の向こうから話しかけてくる演出だけでも面白かったのに、さらにその演出を超えてくる姿勢が最高!

どうやらフリーバッグがこちらに話しかけている最中は、周りには「ぼんやりしている」ように映ってるんですね。なるほど。

もはやフリーバッグが愛おしい

独特な演出、全編に散りばめられた皮肉やユーモア、強烈な登場人物たち。

このドラマの素晴らしいところを挙げればきりがないのですが、私が何よりも心惹かれるのがフィービー・ウォーラー・ブリッジ演じる「フリーバッグ」というキャラクター。

彼女は、自分が家族に受け入れられていないことに密かに傷ついているし、セックス依存症になったのは人に求められたいという欲求からだと自分でも言っています。

親友のブーが、ありのままの彼女を受け入れてくれていたことで、なんとか自分を保てていたんだろうな。

水面下では懸命にもがきながらも、飄々と生きているふりをするフリーバッグが、とっても愛おしいんです、私。

下品で、面白くて、家族思いで、愛情深くて。

私、こんなに好きになったドラマの主人公はいなかったなぁ。

『フリーバッグ』の音楽を作っているのはフィービーの姉

劇中、絶妙なタイミングで「ジャジャジャン!」って流れるあのひずんだギターのリフ。しびれるほど完璧な間で流れるんですよ。音楽の演出まで素晴らしいなんて。

この曲を作ったのは、実はクリエイター兼主演のフィービー・ウォーラー・ブリッジの姉、イゾベル・ウォーラー・ブリッジ。彼女は映画音楽をメインに作曲活動をしているんだって。『フリーバッグ』シーズン1の音楽はイゾベルが手がけています。

ちなみに兄弟のジャスパー・ウォーラー・ブリッジも音楽ビジネスに携わっているそう("music manager"って書いてあるけど、私にはどんな仕事か検討もつきません…)。

『フリーバッグ』にシーズン3はあるの?

フィービー・ウォーラー・ブリッジは「シーズン3は作らない」と言っているし、この物語は幕を閉じたのでしょう。シーズン2のラストで、立ち去りかけたフリーバッグが振り向き、こちらに向かって手を振ります。もう、彼女が私達に語りかけることはないのだと知らせるかのように。

それはもう完璧なラストシーンだったので、ここで物語が終わるのがベストなんだと思います。と言いながら、もし次もやるなら全力で観ますけど。

フィービー・ウォーラー・ブリッジの新作"Run"がHBOでシリーズ化

今やエンタメ業界で引っ張りだこのフィービー・ウォーラー・ブリッジ。彼女が手がける『キリング・イヴ Killing Eve』のシーズン3の更新も決定しましたね。さらに、『Run』というコメディードラマの制作を開始し、パイロット版を経て、HBOでドラマシリーズとして放送することになったそうです。

『ウォーキング・デッド』でデニース・クロイドを演じたメリット・ウェヴァーが主演。

『Run』あらすじ:冴えない人生を送っているローズ(メリット・ウェヴァー)。ある日、昔の恋人と約束した愛の誓いを果たすために旅に出よう、という招待が届く。

フィービーも出演するようですよ。放送予定は未定ですが、こちらも追いかけなきゃですね!

最後に

『FLEABAG フリーバッグ』というドラマは、単純に「コメディー」にカテゴライズできないと思うんです。『ロシアン・ドール』や『パトリオット』、『ボージャック・ホースマン』もそうだったけど、感情が揺さぶられる要素があまりにも多いんですよね。例えば、家族との軋轢や孤独、後悔と自責の念、身近な人の死。

最近、そういう揺さぶられ系コメディードラマによく出会うんです。至福。

フリーバッグという物語は一旦幕を閉じたけれど、きっとまたフィービーは近い内に、私たちを感情の嵐の中に放り込んでくれるはず。

未視聴の方は、ぜひ観てみてくださいね。癖の強い主人公に慣れるまで三話くらいかかるかもしれませんが、そこから俄然面白くなってきます。

ではでは!

↓ドラマ『FLEABAG フリーバッグ』シーズン1、2はAmazonプライムビデオで配信中です。(19年6月現在)

『フリーバッグ FLEABAG』シーズン1のあらすじ、感想はこちら↓

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