ミステリー/サスペンス映画

ミステリーとコメディーの絶妙なバランスが魅力/映画『ナイブズ・アウト』ネタバレあり・なし感想

投稿日:2020年3月22日 更新日:

監督のライアン・ジョンソンがアガサ・クリスティーに捧げたオリジナル脚本、と謳われている『ナイブズ・アウト Knives Out』。

豪華な屋敷で起こる殺人、知られたくない過去や秘密を抱える登場人物たち、そして優秀だけど個性的な探偵。

ミステリーとコメディーが絶妙なバランスでミックスされているところが、本作の一番の持ち味です。

(逆にミステリーとしては普通なので、そこはあまり期待しないで観た方がいいかも)

『ナイブズ・アウト』あらすじ

著名なミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で開かれた。その翌日、ハーランは遺体となって発見される。

首を掻き切られたハーラン・スロンビーの遺体を最初に発見したのは、彼の元に朝食を届けようとしていた家政婦のフラン

彼の家族たちは、エリオット警部補らから事情聴取をされる。

事情聴取の場には、有名な探偵のブノワ・ブランもいた。ブランは、"ある人"からこの事件の捜査を依頼されたと言う。

ハーランの家族は一通り事情聴取が済み、ハーランの専属看護師マルタから話を聴くことに。

マルタはハーランの看護師だったが、同時に、歳の離れた友人でもあった。

ブランは、ハーランからの信頼が厚かったマルタを自分の助手にすることに。

スロンビー家の誰しもが、隠しておきたい秘密を抱えていることをブランは知ったが、人を殺すには動機が弱いとも感じていた。

そんな折、ハーランが最近書き直した遺言が公開される。

そこに書かれていたのは…

『ナイブズ・アウト』感想

久々に映画館で観た映画なんですよ。しかも、普段は全く縁のない銀座の映画館で。

上映開まだ1時間くらいあったから、駅近のデパートに入ってぶらぶらしてたんです。華やいだデパートの匂いや自由な空気に、なんならもう武者震いしてました。

だってほぼ毎日、会社と家の往復しかしてない私。

そんなフワフワした気持ちのままデパートを出たら、映画館への道のりを完全に見失いました。

もう、全く方角が分からないの。

Googleマップの矢印がゆらゆらするのを呆然と見つめることしかできなかったのね。

あんなに途方に暮れたのも久しぶりですよ。

まぁ、それでも、なんとか上映10分前に映画館に到着。

走ってきて汗だくなのにもかかわらず、テンパって売店でホットコーヒーを買い、席についたわけです。

そんな思いをして映画館で映画を観た、ってだけで、すでに忘れがたい思い出になりました。

ここまで、映画の内容は全く関係ないけど。

さて、本題。

『ナイブズ・アウト』はワクワク、ドキドキしながら、家族と一緒でも楽しめる、クォリティーの高いミステリーコメディーでした。

豪華だけど古くて暗い屋敷の様子にはゾクゾクさせられるし、看護師のマルタや探偵のキャラクターはユニークで楽しい。

探偵ブランの話し方がやけに耳慣れないなと思ったら、あれはアメリカの南部訛りの英語らしいです。(演じているダニエルクレイグはイギリス人)

いたるところにクスッと笑える場面が用意されていて、映画館でも小さな笑いが度々起きていました。

ミステリーにあまり興味がない人にこそ、ぜひ観て欲しい映画です。ミステリーが好きになるきっかけになるかも。

ただ、純粋にミステリーとしての驚きを求めるなら、もう一捻り欲しいところではあります。

以下結末のネタバレを含む感想ですので、ご注意ください。

『ナイブズ・アウト』結末までネタバレ

マルタの回想

映画が始まって早い内に、看護師マルタによる、あの夜の回想が映し出されます。

誕生日パーティーが終わり、自室に戻ってきたハーランとマルタ。

ハーランは最近体を痛めたために、毎晩マルタに鎮痛剤の注射を打ってもらっている。

マルタはハーランに鎮痛剤を注射した後、睡眠導入剤のように使っているモルヒネを少量注射しようとした。

しかしそこで、マルタは鎮痛剤とモルヒネを誤って注射してしまっていたことに気がつく。鎮痛剤だと思って投与したモルヒネは致死量を超えていた。

さらに、マルタの医療用バッグの中にあるはずのモルヒネの解毒剤が見つからない。

パニックになりながらも、マルタはハーランにそのことを伝えた。

するとハーランは、「救急車を呼んでも間に合わない。君を殺人犯にしたくないから、自分の言う通りにしなさい」とマルタに言う。

その後、ハーランの言ったとおりに行動したマルタは、誰にも疑われることなく、警察も、ハーランの死は自殺である、という意見に傾いていた。

ハーランの遺言

ハーランの葬儀後、最近書き直されたというハーランの遺言書が家族の前で読み上げられた。

遺言書には、全財産をマルタに贈与する、と書いてあり、ハーランの家族はパニックに。

これまでマルタに親しく接していた誰もが、態度を一変。遺産を渡したくない一心で、みんなが口汚くマルタを罵る。

ハーランの家族はマルタから遺産を奪う策を考え始める。マルタがハーランを殺した、ということになれば、マルタは遺産相続人の権利を失うということを知ったハーランの家族たち。

マルタを殺人犯だと責め立てるが、その証拠は見つからない。

脅迫者の正体

そんな中、マルタに手を差し伸べたのは、ハーランの長女の息子、ランサム。

ハーランの一族が嫌いだから、マルタに味方する、とランサムは言う。

マルタは罪悪感から、投薬ミスのこと、アリバイ作りのこと、すべてわランサムに打ち明ける。

何者かに脅迫されたマルタは、脅迫者が指定した場所へランサムと向かう。しかし、ブランがそれに気がつき、マルタたちを追う。

駆けつけた警察官により、ランサムはハーラン殺害の容疑者として捕まってしまう。

マルタはそのまま脅迫者が指定した場所へ向かった。すると、そこにはモルヒネを過剰投与された家政婦のフランが倒れていた。

脅迫者はフランなのだろうか。

フランが死ねば、マルタの罪は隠しておける。しかし、マルタは一瞬迷った後、フランを助けるために救急車を呼んだ。

ブランに付き添われてハーランの屋敷に戻ったマルタは、ハーランの一族の前で全てを告白し、遺産相続を放棄しようとする。

ランサムはマルタがやったことを警察に話したため、解放されていた。

しかし、ブランは告白を始めようとするマルタを止め、「ハーランの死は自殺である」と、ハーランの家族たちの前で断言した。

事件の真相

ここから決定的なネタバレなので、念のためテキスト閉まっておきますね。

+クリックすると読めます。

ブランが話した真相はこうだ。

ハーランの誕生日パーティーの夜。

ランサムはハーランから、「お前には遺産はやらない」と言われて逆上。ランサムは屋敷を飛び出す。

皆がパーティーに参加している間、ランサムはこっそりと屋敷に戻ってきた。

そして、マルタの医療バッグを漁り、モルヒネと鎮痛剤を入れ替え、解毒剤を持ち去ったのだった。

投薬後、薬を間違えたとパニックになったマルタだったが、実はマルタは正しい薬を注射していた。

マルタは優秀な看護師で、薬のラベルを見なくても中の液体を見れば薬の違いが分かる。

ランサムによって薬の中身とラベルが入れ替えられていたが、マルタは中身の液体から薬を自然に判断し、正しい薬を注射していたのだった。

しかし、薬を間違えたと思い込んだマルタの言葉を信じたハーランは、マルタにアリバイ作りを指示すると、自殺だとすぐに分かるようにナイフで首を掻き切った。

つまりハーランは自殺したことになる。

家政婦のフランにモルヒネを投与したのもランサムだった。

ハーランの葬儀中、ランサムがマルタの医療バッグの証拠隠滅をしているところを、フランに見られてしまったのだ。

フランが搬送先の病院で死亡したため、ランサムは殺人罪で逮捕される。

『ナイブズ・アウト』ネタバレありの感想

最初から提示されている犯人を追い詰めていく物語と見せて、実はフーダニットだったところは面白かった。

しかしあれだけ関係者がいたわりに、彼らの見せ場がほとんどなかったのがなぁ〜。尺的に無理だろうけどなぁ〜。

私はこの物語、ハーランの身勝手さが導いた悲劇のように思うんですよね。

子供達が自分のお金や威光に頼って生きている現状に嫌気がさして、80歳の誕生日を機に、家族への援助をすべて打ち切ったハーラン。

愛のムチだとしてとも、振るうの遅くない?

死期が近づいてきて、心残りを整理してるつもりなんだろうけど。

そしてマルタへの全遺産贈与ですよ。

それだってきっとさ、「マルタなら、自分の家族たちを見捨てるまい、マルタなら彼らを正しく導いてくれるはず」とか思ってたはず。

ハーラン、重い!他人への丸投げが過ぎる!

その身勝手さが結局ランサムの凶行につながったわけですからね。

ちょっと憤ってしまいましたよ。

探偵ブノア・ブランの物語はまだ続くようですよ。続編が考えられているそう。

次は娘と観に行こうっと!

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