ミステリー/サスペンス小説 海外ミステリー/サスペンス

ギリアン・フリン『冥闇』(映画『ダーク・プレイス』原作)は絶対読んでほしい一冊!悲劇的な事件の生存者が事件の真相にたどり着くまで。

投稿日:2018年5月23日 更新日:

『ゴーン・ガール』の作者ギリアン・フリンの小説「冥闇」を紹介します。原題の『Dark Places ダーク・プレイス』というタイトルで映画化もされた作品です。これ、ほんと面白かったんです!関係者の話で少しずつ真相に近づいていくスタイルで、ページをめくる手が止まりませんでした!

※冥闇とは、「くらいこと」、もしくは、「くらやみ」という意味だそうです。原題のDark Placesからきてますね。

冥闇(2012)
著者:ギリアン・フリン
<あらすじ>
兄が犯人として逮捕された一家惨殺事件の生き残りのリビー・デイ。事件後は無気力になり、自堕落な生活を送っていた。遺族への寄付金に寄生していたが、ついにそのお金が尽きてしまう。そこへ、殺人クラブと名乗る団体の主催者ライルから、謝礼を出すから自分たちの会合に参加してほしい、と連絡がくる。リビーは殺人クラブの会合に参加し、惨殺事件を振り返ることになる。

ギリアン・フリン『冥闇』あらすじと感想

デイ家を襲った惨殺事件

24年前、農場を経営するリビーの母パティ・デイと姉二人が、自宅で、ナイフ、斧、ショットガンで惨殺されました。当時15歳だった兄ベン・デイは、悪魔信仰にのめり込んでいたとして、警察から疑惑の目を向けられていました。当時7歳だったリビーが兄の犯行だと証言したことと、ベンがそれを否定しなかったことで、ベンは殺人事件の犯人として逮捕された。後に、大草原の虐殺、カンザスの殺戮、などと呼ばれることになります。

殺人事件マニアが集まる殺人クラブ

リビーに接触をしてくる殺人クラブは、一言で言えば、殺人事件マニアの集まりです。この集まりの中にも、色々なグループが存在しています。悪ノリして有名な殺人鬼の仮装をしている人たちのグループや、まだ事件として扱われていない未発見の殺人事件を探し出すグループ、そして未解決の事件の真相を推理するグループなど。そして、誤認逮捕だとしてリビーの事件を調べていたグループにいたのが、リビーに声をかけたライルです。

謝礼のために、事件を振り返り始めるリビー

会合では、犯人として刑務所に24年間収監されている兄ベンを無実だと信じる人たちに出会い、リビーは彼らに責められます。当時ベンの犯行を見たと証言したのが、事件現場にいて唯一生き残ったわずか7歳のリビーだったからです。リビーは自分が責められたことで憤慨し、暴言を吐きながら会場を後にします。しかし、お金がなく今後の生活が困窮することに変わりはありません。

殺人クラブからもっとお金を引き出せるかもしれない、とリビーは思い立ちます。ベンや、当時の関係者に会って事件の真相を調べるふりをすれば。ベンの無罪を信じているわけではないけど、お金のためにやるしかない、と。殺人クラブ主催者ライルの助けを借りながら事件関係者との接触を始め、リビーは真相に近づいていきます。そして導き出された真相とは…。

物語は、現在のリビーのパートと、事件当時のパートが交互に進みます。事件当時のパートでは、兄のベン・デイと、母のパティ・デイの目線で物語が語られます。貧しい農場主である母と、飲んだくれで怠け者で、家を出て行ったどうしようもない父、シャイで暗い性格の兄ベン、そして2人の姉。当時の生活は貧しく、パティはいつもお金の工面のことで頭を悩ませていました。その姿はほんとに救いがないように見えて、読んでいるこちらが辛くなるほど。兄ベンは、自分の不遇な人生を嫌い、悪い仲間とつるむようになります。

現在のパートのリビーはものすごくやさぐれてます。自暴自棄で自堕落で。手癖が悪く、どこかに行けばそこにあるものを盗まずにはいられません。そして、あの残酷な事件のことを気にしていないふりをしています。しかし、実際のところ、リビーは心の芯も、頭のてっぺんからつま先までも、悲しみと苦しみで覆われていて。

読み進めていくうちに、どんどんこのリビーが好きになっていきましたよ~。最初はお金目当てだったのに、徐々に事件に向かい合い、辛い記憶を呼び起こしてまでも真相を追求し始めるリビー。いじらしいんですよ、リビー。愛しさすら感じちゃいます。

真相にたどり着くための手がかり

殺人クラブのライルに言われるまま、リビーは事件の関係者と会って話します。それぞれの話の中に、リビーがハッとする部分があります。リビーが見逃していた事実、忘れていた事実、そして見ていたのに見なかったふりをした事実。これまで光を当てないようにしていたことが、どんどん明るみの元にさらけ出されていくのです。

映像化されるギリアン・フリン作品


ダーク・プレイス スペシャル・プライス [DVD]

映画『Dark Places ダーク・プレイス』では、シャーリーズ・セロンがリビーを演じていました。外見は原作の描写とは全く違うけど、シャーリーズ・セロンの方はもっと垢抜けていて、それはそれで良かったです。ストーリーはほぼ原作通りだし、ドライな空気感や、リビーのやさぐれ具合もよく出ていていい!こちらもぜひ観てみてください。

また、映画『ゴーン・ガール』もギリアン・フリンの小説が原作です。


ゴーン・ガール [AmazonDVDコレクション]

小説はこちら↓


ゴーン・ガール 上 (小学館文庫)

『Dark Places ダーク・プレイス』『ゴーン・ガール』はAmazonプライムビデオで配信中です(2018年7月時点)。無料で観られるお試し期間が30日間あるので、未登録の方はぜひ登録してお楽しみください♪

Amazonプライムビデオを30日間無料体験!

ちなみに、作者ギリアン・フリンの処女作「KIZU-傷-」(…邦題がひどすぎる。)が今夏HBOでドラマ化されます。ドラマは原題の『Sharp Objects』。これも気になる!

ドラマ『Sharp Objects シャープ・オブジェクツ』の情報はこちらで紹介しています。

(追記あり)ギリアン・フリンのミステリー小説『Sharp Objects』が今夏HBOでドラマ化!ダークなテイストのティザー動画も公開。

2018年7月にHBOでドラマシリーズが始まる、ギリアンフリン原作のミステリードラマ「Sharp Objects」。先日紹介したミステリー小説『冥闇』の著者の処女作にして、英国推理作家協会賞二部門を受 ...

ギリアン・フリンの小説『KIZU-傷-』はこちらで紹介しています。

HBOでドラマ化。心がえぐられるミステリー小説、ギリアン・フリン『KIZU―傷―』

2018年7月にHBOでドラマ化されたギリアン・フリンの「KIZU―傷―」(…邦題…!!)。これはかなり心をえぐられました。主人公は新聞記者で、殺人事件の記事を書くために故郷の町に滞在することになるの ...

真相への手がかりがパズルのピースのように少しずつあるべきところに収まっていき、じわっと余韻が残るミステリー小説「冥闇」、私のイチオシです!ぜひ読んでみてください。

記事キーワード

-ミステリー/サスペンス小説, 海外ミステリー/サスペンス
-, ,

Copyright© ミステリープール , 2019 All Rights Reserved.