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ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』原作者による海外ミステリー小説『死後開封のこと』/結末に向けての加速が凄まじい!

投稿日:2019年4月6日 更新日:

不幸や災いの詰まった「パンドラの箱」を開けてしまったら、あなたはどうしますか?

散らばった不幸の種を、一生をかけて一つずつ拾い上げて箱の中に戻し続ける?自分も災いの一つとなって飛び回る?

それとも、自分も傷つきながら、世界が崩壊していくのを見守る?

今日紹介する小説『死後開封のこと』の中でも、「パンドラの箱」が開け放たれてしまいます。

すべてはあの手紙がきっかけだった。夫の字で「死後開封のこと」と書かれた封筒。その手紙を見つけたときから、セシリアの幸せな家庭に暗雲がたれこめ始める。そのころテスもまた、夫と従妹が愛し合っているとの告白に動顛していた。テスは息子を連れ実家へ帰るが、そこで出会ったのは殺された娘をいまだ忘れられない老婦人レイチェルだった。開けてはいけない〈パンドラの箱〉を開けてしまった女性たちを描くトリッキイなミステリ。(amazon)

著者は『ビッグ・リトル・ライズ』の原作者

『死後開封のこと』著者のリアン・モリアーティーは、HBOの大ヒットドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』原作の『ささやかで大きな嘘』の著者でもあります。『ビッグ・リトル・ライズ』でもアッパーミドルクラスの白人ママたちの友情や確執や秘密を描いていますが、今作品でもそのノリは変わらず。

シーズン1はAmazonプライムビデオで配信中です。(19年3月現在)

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3人の女性たちの平穏な日常にヒビが入っていき、一つの事件に収束していく様子は、ついゾッとさせられます。ミステリー要素は少ないものの、読み応えは抜群です。

著者のリアン・モリアーティーは、登場人物の描写がとてもうまいんですよね。セリフの言い回しにリアリティがある。

そして、心の声やちょっとした仕草の描写も素晴らしくて、その人をぐっと身近に感じさせてくれます。

この物語を読んでいて、登場人物たちが自由に考えて、自由に振舞っているかのように錯覚することが何度もありました。まるで海外ドラマを観ているかのように、そのシーンが眼に浮かんでくるんです。小説を読んでいてこんな風に感じることって少ないですよね。まさに著者の力量の為せる技だなと思います。

ちなみに、主人公のセシリアが、『ビッグ・リトル・ライズ』のマデリン(ドラマではリース・ウィザーズプーンが演じています)にしか見えないのは私だけじゃないはず…

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『死後開封のこと』あらすじと感想

『死後開封のこと』に登場する3人の女性たち

セシリア

小学校のPTA会長も務める人望の厚いセシリアは、3人の娘と夫のジョン・ポールとともに、忙しい毎日を過ごしていました。

セシリアは3人の娘の学校や習い事の送り迎えをこなし、家の中を完璧に整頓し、さらにタッパーウェアのセールスの仕事もしています。

彼女の日々は、少し退屈ではあるものの、平穏で幸せそのもの。

夫のジョン・ポールが出張中、セシリアは未開封の手紙を見つけます。ジョン・ポールが自分に宛てた手紙でした。

その手紙には、「死後開封のこと」と書いてありました。

セシリアは手紙を開けずにいたのですが、出張から帰ってきた夫の様子がおかしいことから、ついに手紙を開けてしまいます。

しかしそれは、セシリアにとっての「パンドラの箱」だったのです。

何が書いてあったかはネタバレになるので言えませんが、パンドラの箱から飛び出したものは、セシリアのそれまでの平穏な生活をぶち壊し、二度と戻すことはできないほどのものでした。

セシリアが混乱と葛藤と怒りを抱える日々が始まります。

テス

テスは、従姉妹のフェリシティー、夫のウィルと広告制作会社を設立し、自宅兼オフィスで仕事をしていました。

ある夜、テスは、フェリシティーとウィルから「自分たちは愛し合っている」と告げられます。

ウィルとうまくいっていると思っていたテスにとって、その告白は青天の霹靂。二人を許せないテスは、一人息子のリーアムを連れて、実家のあるシドニーに帰ります。

息子のリーアムを地元の学校に入れ、とりあえず実家での暮らしを始めるテス。リーアムはセシリアの娘と同級生になりました。

リーアムの学校の職員室で、テスは体育教師のコナーと遭遇します。テスとコナーは、学生時代に付き合っていたことがありました。学校で顔を合わせるうちに、昔の感情が蘇っていく二人。夫へのあてつけの意味もあり、テスは二人の関係にのめり込んでいきます。

レイチェル

リーアムの通う学校で事務員をしているレイチェルは、学生だった娘のジェイニーを何者かによって殺されてから、孤独な毎日に耐えていました。約20年ほど前にジェイニーを殺した犯人はまだ捕まっておらず、手がかりさえもありません。

しかし、ある日、レイチェルは、ジェイニー殺しの犯人の手がかりとなるかもしれないビデオテープを見つけます。そこに映っていたのは、レイチェルが職場で毎日のように顔を合わせている人物。

レイチェルは、この人物への憎悪の念を深めていきます。

3人の行動の結果が、一つの事件に向かっていく

日に日に、自分だけでは抱えきれなくなる罪悪感に苛まれるセシリア。夫と別れるか、それとも何もなかったことにするか…。しかしセシリアがとった選択肢は、ある人の人生を大きく変えてしまうことになります。

また、夫からの謝罪を受け、テスも選択を迫られます。このままコナーと一緒にいるか、夫とやり直すか。このテスの選択もまた、悲劇的な事件を引き起こす最後の「一押し」となります。

そして、犯人と目星をつけた人物への復讐心を抑えきれなくなっていたレイチェルが、お膳立てされたとでも言うような、ある場面に遭遇してしまうのです。

結末に向けての加速が凄まじい!

読み始めてからしばらくは、三人の女性の毎日が淡々と描かれているので、「…おや、何も起きないじゃないか」と思う方もいるかもしれません。

物語前半では、夫の不倫や嫁姑問題なんかがありつつも、彼女たちはそれなりに対処しているように見えます。

しかし、セシリアがパンドラの箱を開けてからは、あっという間に三人の運命の歯車は結末に向けて加速していきます。

それぞれの抱えている思いがいつ爆発してもおかしくない緊張状態が続くので、後半はずっとハラハラしっぱなし。

エピローグも秀逸で、運命の皮肉さを感じずにはいられませんでした。

『死後開封のこと』は、海外ドラマ好きの方にもおすすめ!

前半のスローな展開から、結末に向けての緊張感漂う展開は読み応え抜群です。海外ドラマ好きの方にもおすすめの本書。パンドラの箱を開けてしまった女性たちの結末がどうなったか、ぜひ、あなたの目で確かめてください。

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